西鉄宮地岳線を津屋崎駅で降りると、
すぐ、あざやかな夕日が目に飛び込んできました。
家と家の間から、海と夕日が見えています。海岸へと歩いていく人がいます。
海岸に出ると、夕日が海の上で、強く輝いていました。
空と海は、青と紫と橙のグラデーションの色合いに染まっています。
浜辺には、「結びの夕陽」に集まった人たちがたくさんいました。
何百人いるのでしょうか。
ほとんどみな、夕日に向かって立っていて、
たたずんでいたり、写真を撮ったり、
ふるまわれる年越しそばを食べていたりします。
(そばの麺は各自持参とのことでした)
たき火も焚かれていました。強風で、ひどく寒いのです。
そしてとうとう、日が海に落ち始めました。
「日が沈みます!」とスタッフらしき誰かが叫びました。
みんな日の沈むほうを見つめます。
太陽は、ひきとめる間合いもないほどすうっと、光の最後のひとしずくを水平線に落としました。
日が落ちたあとも、たくさんの人が、海岸に残って、
日の沈んだほうを眺め続けたり、テントでそばを食べたりしていました。
浜辺に、「結びの夕陽」の立て札が立ててありました。
夕日の写真をバックに、「さようなら」と書かれてあります。
「結びの夕陽」も今回が最後、20世紀の太陽もこれが見納めでした。
やがて空の紫は色深くなり、藍色へと移ろっていきました。
西の空高く、満ち始めたばかりの月と、
(たぶん)宵の明星が、明るく輝き始めました。
日の沈んだ海は、強い風に紫の波を立て、
水平線上の茜色を映して輝く波打ち際にいくつもいくつも波を寄せ続けていました。