9月のはじめ、新潟県佐渡の新穂村に行きました。
新穂村には、トキ(朱鷺)を保護し殖やしている「佐渡トキ保護センター」があります。
そこには、中国などから来た若いトキの皆さん、センターで生まれたトキの子どもたち、
そして働いてらっしゃる(人間の)方々がいらっしゃいますが、
おひとりだけ、かなりのお歳の方が住んでらっしゃいます。
人間で言うと100歳ほどになるという、いまたぶん34歳の、日本最高齢のトキ、キンさんです。
まえまえから一度お目にかかりたいと思っていたのですが、
用事で新潟へ行く機会があり、やや駆け足だったのですが、佐渡へ渡って、
新穂村のトキ保護センターへ行ってきました。
朝9時ごろ。行谷(ぎょうや、だったと思いますが)というバス停でバスを降り、
そこのお店の自動販売機でジュースを買って飲んで、
バス通りの道を少し先に行くと、看板が出ていて、
その下にたんぽぽが咲いていました。
右に折れると、田んぼと畑が、はるか遠くまで広がっています。
白い花の畑と黄色く実った田んぼを眺めながら歩きました。
道沿いにはたんぽぽ。寄って見ると、西洋たんぽぽではなく、在来種のようです。
福岡の在来たんぽぽより、花びらの数が少ないような気がします。
むらさきつめくさや、名前を知らない花たちと、並んで咲いていました。
どこまでも続きそうな道を、それでものんびりと歩いて、
橋を渡り、左に折れ、工事の測量かなにかをしてらっしゃる横を、右に道をとり、
観光バスとすれちがい、
ほどなく、トキの森公園の入り口に着きました。
トキ保護センターはトキの森公園の一角にあります。
キンさんはセンターの中で飼われているのですが、
見学者が直接見ることはできません。
センターの、トキ資料展示館にあるテレビモニターで、
ほかの若いトキたちの映像に混じって、生中継で映されるのを見ることができます。
ただ、以前電話で問い合わせたとき、
キンはいつもいつも映るわけではない、と聞きましたので、
見られるかどうか少し不安でした。
展示館で係の方にあいさつし、展示室に入ると、
すぐ目の前に大きなハイビジョンのモニターがあり、
1羽のトキが映し出されていました。
トキは、ケージの中で、床の何かをつついています。翼を動かしたりして元気そうです。
わたしにはトキの見分けがつかず、係の方に、いま映っているのは...?とお尋ねすると、
キンですよ、と言われました。
キンはケージの奥にいたりして、
キンのケージが映る番になっても映らないことが多い、のだそうです。
よかったですね、と係の方に言われました。
撮影許可をもらって、写るかなあと思いながらモニターのキンさんを写真に撮ったところで、
画面が切り替わり、若いトキのケージになりました。
展示室内には、トキの写真や解説パネル、模型展示があり、
佐渡に住んでいた最後の雄のトキ、ミドリさんの剥製も置かれていました。
また、センターでは中国から招いたトキの夫妻に子どもや孫が生まれていて、
そのお祝いに新穂村の小学校と保育園の子どもたちが寄せた寄せ書きが
壁をにぎやかに飾っていました。
ケージを見に、外へ出ました。
トキたちのケージは、たぶん見学者の影響をあまり受けないようにでしょう、見学位置から
かなり離れたところに設けてあります。
倍率が高い双眼鏡が設置してありますが、
肉眼でも、小さい姿ながら見ることはできました。
キンさんはケージではなく、右の建物の中にいるとのことで、
やはり見えませんでした。
小雨の中、そこにおられるはずのキンさんの、そこにおられる感じを感じ取れないかなあと、
しばらく眺めていると、
にぎやかに、見学の子どもたちがやってきました。
公園入り口の売店でおみやげを買い、
ソフトクリームをほおばりました。
ソフトクリームスタンドの店員の方に、佐渡は柿がおいしい、来る途中の畑の白い花は蕎麦の花だ、などなど
いろいろ教わりました。
こんどはゆっくり来ますとあいさつをして、
トキの森を後にしました。
新穂村のまちなかの方へと歩きました。
教わって知った蕎麦の白い花が、雨煙りの中、咲いていました。
キンさんの御多幸を遠くからお祈りしております。
それから、もし新穂村にお住まいのきんさんという方を捜して
このページを見つけた方がいらっしゃいましたら、
御期待に添えず、すみません。